2018.5.8 第258回大内倶楽部定例会 講話「山口における西田幾多郎」

まずは、恒例の会長の挨拶。今回は23名方にご出席いただきました。今回の講話は、放送大学山口学習センター長の岡村康夫先生にお願いしました。下堅小路の龍福寺入口付近にある西田幾多郎の下宿先はご存知だと思いますが、「善の研究」で著名な彼の山口在任期間( 明治30年9月~明治32年7月 )を中心にお話しいただきました。石川県生まれの幾多郎の山口の印象は「山口と申すところは誠に小さき処にて・・・」というものだったそうで、山口高等学校では英語ドイツ語、そして論理学を担当したとのこと。彼の家庭環境にはなかなか厳しいものがあり、常に小難しい暗い顔をしていたため、アルフレッド・G・チャールトンという英語教師からは、いつも「Are you happy?」と言われ、それが彼のニックネームになったとか。また山口市内では、露山堂、菜香亭などを訪れ、東鳳翩山にも登ったことがあるとのことで、もしかしたら山好きだったのかも知れません。また湯田温泉の「瓦屋」をよく使っており、送別会もここで行ってもらっており、鰐石橋から馬車に乗って三田尻まで行った由。なお、三田尻まで鉄道が伸びてきたのは明治31年3月17日のことなので、赴任時は広島から船だったものの、離任時は鉄道で行くことができたことになります。ご存知のようにこの旅館・瓦屋は湯田温泉の老舗の一つで、松田屋の裏にその碑が立っています。瓦屋旅館の娘が山田顕義と妻となったのは有名な話です。西田幾多郎と言うと「哲学の道」を思い出しますが、彼が下堅小路の下宿から山口高等学校まで、どのルートを通っていたかはよく分からないと岡村先生は言われていました。もし、はっきり分かれば、「山口・哲学の道」として売り出せるのに、と誠に残念至極です。 少しだけ西田哲学の話もされました。「形なきものの形を見、声なきものの声を聞く」「個人あって経験あるにあらず。経験があって個人はある」「純粋経験」「絶対意志」などという、ちょっと難しい話も岡村先生のソフトな語り口で解説していただきました。かつて少しだけ学んだ「哲学」のお話を、何か幼い頃の体験を思い出すように、懐かしくお聞きしていたような次第です。なお、先生のお話をもっと聞きたい方は山口市下竪小路45番地の西田幾多郎旧宅へどうぞ。http://yamaguchi-nishida.org/懇親会では恒例の近況報告に先立ち、入江さん、湊さんの市会議員当選のお祝いとお礼の言葉があり、そしてこの度、会員の片山さんが叙勲の栄誉に輝かれたという報告もありました。片山さん、おめでとうございます。( 残念ながら本日は欠席 ) そして、いつもの記念撮影です。来月もどうぞ奮ってご参加下さい。( web担当 古谷 記 )