第243回定例会 卓話 講師 作家・堀雅昭氏 2017.2.14

講演中の堀氏  今回は、山口・九州を舞台とした近代史をテーマとして精力的に執筆活動を続けられておられる宇部市在住の作家、堀雅昭氏にご講演していただきました。堀先生と私は、まず県立図書館でお会いし、その後宇部市立図書館でも再びお会いして名刺交換をすることになり、今回ご講演をお願いしたような次第です。講演は「長州神社『靖国』の起源」と題したもので、現在の靖国神社のルーツを探るお話であり、同時に毛利藩の祭祀官・萩の椿八幡宮宮司であった青山上野介( 清 )が、幕末様々な活動を経て初代靖国神社宮司に就任するまでの経緯も解説されました。  私が特に興味を持ったのは、明治維新を成し遂げるために、とりわけ長州藩が、幕藩体制の根幹であった「儒教と仏教」という中心思想を徹底して破壊するため、これに代わるものとして「洋学と神教」を前面に押し立てたという歴史的視点でした。また、山口市の秋穂二島の朝日山招魂場は下関の桜山招魂場よりも2か月早く造られていたこと、創建時の靖国神社は噴水を備え、大村益次郎像も日本で初めての銅像という西洋式の近代的神社であったこと、さらには後河原の錦の御旗製造所の看板作成に堀氏が尽力されたことなど、目から鱗のお話も多々ありました。そしてまた、明治維新150周年を真の意味で祝うためには、情報発信源としての県内出版社の育成も急務であると力説されておられました。講演後には靖国神社に深い関心をお持ちの山田さん、柴田先生からの質問と感想もあり、大いに盛り上がった講演会でした。  氏には井上馨開明ナショナリズム」、「鮎川義介ニッサンコンツェルンを作った男」、「中原中也と維新の影」「靖国誕生」近著「関門の近代」など多数の著作もあります。是非ご一読下さい。また2月25日〔土〕午後1時から、氏のご著書「鮎川義介・・・」をもとにしたドキュメンタリー番組がKRY山口放送で放送されることもお知らせしておきます。( 古谷 記 ) 質問中の山田氏 感想を述べられる柴田先生 威勢よく一本締め